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あらすじ
美瑛町~地域経済のメカニズムは、コロナの問題も十勝岳噴火も同じで、また何十年分の人口減少が一気に来たとも考えられる。危機に打たれ強い地域経済を目指すことは、人口減少に打ち勝つまちづくりにも通じる。よって人口減少の地域経済の課題に取り組む町村の考え方を学ぶことは大いに意味がある。
アフター・コロナの課題設定
美瑛町の新しい町政は、人口減少が引き起こすまちづくりの課題を図1のようにシンプルなサイクル(循環)で説明している。
「人口減少」が徐々に進むと、「消費額」が減り、「町内経済」か縮小し、「雇用」に悪影響がでて、「人口減少」がさらに進みマイナスのサイクルにおちいる。そこで町は、プラスのサイクルを起こす多面的な政策を掲げている。
観光客を呼んで「消費額」を増やす。
起業や六次産業を促進し「雇用」を増やす。
移住を促進し「人口減少」を押さえる。
人口減少は緩やかな変化だが、新型コロナや十勝岳噴火の場合は図1の「消費額」のところが急激に減る。そして「町内経済」~「雇用」~「人口」へとマイナスのサイクルが急速に波及する。
結局、図1の経済のメカニズムはコロナの問題も十勝岳噴火も同じで、また何十年分の人口減少が一気に来たとも考えることができる。よって危機に打たれ強い地域経済を目指すことが、人口減少に打ち勝つまちづくりにも通じる。
枝廣淳子氏に学ぶ
今回とりあげた枝廣淳子氏は、以前から「地元経済を創りなおす」というテーマを実践し、いまは「アフターコロナの未来は地域にしかない」と説いておられる。今回、おすすめのYoutube動画(約20分)を紹介し、そこで学んだことをまとめたい。
オンライン講義「地域が幸せになる経済循環の作り方」(ゲスト:枝廣淳子さん・福嶋隆宏さん)
なお枝廣淳子氏は、「美瑛町共有ビジョンまちづくりワークショップ」のファシリテーター
動画から学んだこと
未来は地域にしかない。だが地方は、いきいきと活力を感じるまちと、あきらめ投げやりな活力のないまちに二極化している。
不安定・不確実な時代を生き抜く、レジリエンス(しなやかな回復力)が地方に必要だ。何かあっても折れない力を平時から蓄えておく。そのために、共有ビジョンを持ち、外部に依存し過ぎない経済を創ること。
SDGsは地域のまちづくりに大事だが、日本特有の課題(人口減少、地元経済の疲弊など)が入っていないことに留意する。
漏れバケツ理論:いくら国の補助金や観光客で地域にお金を引っぱってきても、つぎの瞬間に外に漏れだしているのが現状。引っぱってきたお金をどれだけ長く地元に滞留させ、循環させるかが非常に大事。
入ってきたお金10,000円を地元で循環させる力:意識が低くお金が20%しか地元に残らないまちはお金がぐるぐる回って最終的に12,500円の経済の大きさになる。意識が高くお金が80%も地元に残るまちは、最終的に50,000円の経済の大きさになる。
昔と違い政府のカネが外から入ってくる時代でなくなったいま、入ってきたお金の漏れを減らし地元で何回も回してどれだけ大きくするかがカギとなる。
地元経済の現状を見える化する方法:➀事業者の取引を調べる市町村の産業連関表を作成 ②消費者の買い物調査(ただし、お店の外部からの仕入れ比率もポイント)③役場の調達分析
産業連関表を用いた下川町のバイオマスエネルギー転換の実践事例
まとめ
データで町内経済を健康診断し、シナリオを作って実践していくことの大切さ
他の市町村の実践事例を学び、理論だてて実践することの大切さ
新しい取り組みの町民の理解を拡げるうえでつねに課題があること。これについて、枝廣淳子氏は別の講義でつぎのように説明されている。
◆ものごとを変える時の抵抗について Youtubeへ
「人口350人の村長のリーダーシップで新しい施策を展開するとき、住民の理解が得られない」という課題事例について
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『なにか新しいことをするとき、少数のはっきりした理解者と少数のはっきりした反対者が必ずいる。350人全部に理解してもらおうとせず、理解者でも反対者でもない中間の大多数に働きかけ、20%程度のひとが理解者になってもらうのがコツだと・・・』
Noriaki Gentsu @NorthQuest
参考情報
◆オンライン講義「地域が幸せになる経済循環の作り方」(ゲスト:枝廣淳子さん・福嶋隆宏さん)
◆地域経済の未来〜深谷市に学ぶ産業ブランディング(ゲスト:枝廣淳子さん・福嶋隆宏さん)
◆地域に必要な3つの循環(ゲスト:枝廣淳子さん・福嶋隆宏さん)
◆地域通貨はなぜ失敗してきたか?(ゲスト:枝廣淳子さん・福嶋隆宏さん)
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