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執筆者の写真NorthQuest |びえい未来ネット

(No.143)因果関係チャートで問題解決スキルをアップ|質問の技術②

将来のまちづくりの担い手を目指す人に・・・前回のテーマ「課題共有フレーム」のねらいは事業の内容よりも効果に焦点をあてること。今回はそれを拡げて、問題の成り立ちと解き方を研究しましょう。町民視点の質問のスキルアップのために。



 

目次

  • はじめに

  • 用語の確認

  • 問題のタイプ

  • 原因対策型の因果関係と解決プロセス

  • 課題設定型のの因果関係と解決プロセス

  • ふたつのタイプの比較表

  • まとめ


 

はじめに

前回の「課題共有フレーム」は難しいテーマの核心に近づくツールです。事業の内容を追いかけるのではなく、得られる効果や期待する町の変化に焦点をあてるものでした。

今回はそれを拡げて、問題の成り立ち(因果関係、解決プロセス)を研究します。

町民視点の質問のスキルアップのために。

※「課題共有フレーム」のワンポイント解説は末尾に⇒こちら 前回の記事は⇒こちら
 

用語の確認

問題解決に用いる用語をつぎに説明します。下のチャート図↓↓と併せて確かめてください。 ご存じの方は飛ばしてください。

因果関係: 二つ以上のものの間に原因と結果の関係があること。例えば、ある物ごとが別の物ごとを直接的に引き起こす場合、それは因果関係があると言えます。 原因は結果より時間的に早く発生します。なお、結果が原因となって次の結果を引き起こす場合があります。さらに結果としての被害が原因となって二次被害や風評被害を引き起こします。このように因果関係は複雑に連鎖しています。
原因と要因の使い分け: 原因は物ごとを引き起こすもとであり、特定の事象の背後にあるものを指します。通常は悪いことが起きたときに使います。要因は物ごとを引き起こす主要な原因を指します。複数の要素が組み合わさって物ごとが起こる場合に使います。成功要因など良い意味にも使います。(複数の要素があっても誤解がなければ原因と言ってもかまいません。) 原因(cause)、要因(factor)
直接要因と間接要因の使い分け: 複数の要素が組み合わさって物ごとが起こる場合、要因を区別することでより正確な説明ができます。直接要因は、原因と結果が直接的に結びついている関係です。例えば、雨が降ったために地面が濡れた・・雨が直接的な原因、地面が濡れるのが直接的な結果。 間接要因は、原因と結果が間接的に結びついている関係です。例えば、高熱が出たために体調が悪くなり、仕事に集中できなかったというのは、高熱が間接的な原因であり、仕事に集中できなかったのが間接的な結果です。
原因と理由の違い: 原因は物ごとを引き起こすもとであり、特定の出来事や状態の背後にあるものを指します。理由は物ごとを行ったり起こしたりする際の根拠や動機を示します。原因は客観的、理由は主観的(自分の主張)と言えます。原因(cause)、理由(reason)

以上をチャートに表したものが下図↓↓です。


クリックで拡大します↓↓

因果関係
因果関係は、二つ以上のものの間に原因と結果の関係があること。例えば、ある物ごとが別の物ごとを直接的に引き起こす場合、それは因果関係があると言えます。 原因は結果より時間的に早く発生します。なお、結果が原因となって次の結果を引き起こす場合があります。さらに結果としての被害が原因となって二次被害や風評被害を引き起こします。このように因果関係は複雑に連鎖しています。
 

問題のタイプ

問題は大きくふたつのタイプがあります

  1. 原因対策型:「いままでうまく行っていた」「うまく行くはずだった」タイプ。事例:十勝岳爆発、豪雨被害、紅麹被害、農家の燃料費高騰被害など。

  2. 課題設定型:「いままでうまく行ったことがない」「このままでは困ったことになる」タイプ。事例:市街地の活性化、商店街の後継者不足、Beコインの普及拡大、六次産業の起業促進、観光公害、通過型観光の脱却、美瑛高校の存続、町財政の持続性。


例えば民間なら営業赤字は原因対策型、経営改革・新規起業は課題設定型となります。

 

原因対策型の問題の構造


<因果関係チャート>

このタイプは「いままでうまく行っていた」ことに起きた一過性のものであることからチャートは直線的になります。(下図↓↓、「豪雨被害の例」を参照)


作り方は

  1. 起きたこと(結果)に至る過去から現在までの、一連の要因のつながりを解明する

  2. 結果(=直接被害)によって、現在から将来に波及して起きる二次被害を予測する


クリックで拡大します↓↓


<解決プロセス>

このタイプは因果関係チャート上に全ての対策ポイントがあります。(上図↑↑参照)

  1. チャート上で、暫定・恒久対策、再発防止策など全ての対策ポイントを選ぶ

  2. 対策ポイント毎に、現状Ⓐ:畑の浸水 あるべき姿Ⓑ:原状回復などと明記する

  3. ⒶⒷの数だけ、課題Ⓓと打ち手(事業)Ⓔがあります(図では省略)

  4. 対策ポイント毎に「課題共有フレーム」のⒶⒷⒸⒹⒺについてPDCAを行う


※ⒶⒷⒸⒹⒺは「課題共有フレーム」のⒶⒷⒸⒹⒺに対応しています。

以上は下図↓↓の標準プロセスであらわすことができます。

クリックで拡大します↓↓

 

課題設定型の問題の構造


<因果関係チャート>

このタイプは「いままでうまく行ったことがない」慢性的なものであることから、チャートは(悪循環の)ループで描きます。(下図↓↓、「若年層の人口流出増の例」を参照)


作り方は

  1. 若者が流出する最もらしい直接要因として「町内産業の魅力減」を考える

  2. 若者が流出して起きる最もらしい直接の影響を考える・・・「後継者減」「町内消費減」

  3. 「後継者減」「町内消費減」から「町内産業の魅力減」につながる最も説得力のあるループを描く

※要因は短く、何かが増える/減る、何かがプラス/マイナスと変化を明記、
※外部の要因はループの外に書き出します
※最もらしい要因とは、たたき台であり検証できるまでは仮説という意味


クリックで拡大します↓↓


※ちなみに、上の因果関係チャートの読み方はつぎのようになります。
若年層の人口流出が増えれば→後継者が減る (後継者が減れば)→事業所が減る (事業所が減れば)→求人が減る (求人が減れば)→町内産業の魅力が減る (町内産業の魅力が減れば) →若年層の人口流出がさらに増える=悪循環

ループが一回転するたびに問題が悪化することを確かめたら、たたき台としての因果関係チャートの完成です。これで関係者と議論する準備ができました。



<解決プロセス>

このタイプは現状ループのなかに解決ポイントがありません。「いままでうまく行ったことがない」からです。


新たな「うまく行く」対策ループを創って、既存のループの最適な対策ポイントで交わらせることで問題を緩和の方向に動かします。

  1. 「若年層の人口流入増」を創り出す新たな追加ループを考える・・下図↓↓紫色

  2. その追加ループに政策を投入して人口流入増をはかり、現状ループの人口流出増と均衡させる

  3. 追加ループの各KPIとKGIをPDCAマネジメントする

  4. 時間とともに現状ループの特定の要素に徐々に波及効果が働く・・図中の波及効果(紫)


現状ループに対策せず、新しいループによって新しい動きを創り出すと覚えてください。(詳細は次回に)


クリックで拡大します↓↓

※なぜ追加ループをつくるか? もともと全てのものはプラスとマイナスのループのバランスで成り立っています。「人口流出増」は、現状はマイナスのループが強く、プラスが弱い状態。マイナスの部分だけが氷山の一角で見えているだけ。ループ図をつくることは、氷山の下に隠れたもともとあるループを見つけることで、問題解決のはじまり。ちなみにゼロカーボンの取り組みもCO2のプラスとマイナスのループが応用できます。(システム理論、氷山モデル)

以上は下図↓↓の標準プロセスであらわすことができます。(詳細は次回に)


クリックで拡大します↓↓


 


ふたつのタイプの比較表

理解を深めるために二つの問題のタイプの比較を下図↓↓にまとめました。


クリックで拡大します↓↓


 

まとめ

  1. 問題は大きく「原因対策型」と「課題設定型」のふたつに分かれます。これからのまちづくりの担い手は課題設定型に慣れることが肝心です

  2. 前回の「課題共有フレーム」は難しいテーマの核心に近づくツールです。事業の内容よりも、得られる効果や期待する町の変化に焦点をあてるものでした。

  3. 今回はそれを拡げて、問題の成り立ち(因果関係、解決プロセス)を研究しました。 これは町民視点の質問のスキルアップと、究極は問題の改善にならない打ち手(事業)の廃止につながります。チャートのトレーニングを積むことです。

 

今回はここまでです。

2024-4-21 Noriaki Gentsu @ NorthQuest(ノース・クエスト)・・Quest=探求する


 

「課題共有フレーム」のおさらい

下図↓↓に再掲した「課題共有フレーム」で前回のポイントを確認します。

  1. 問題の特定・・・望ましくない現状Ⓐとあるべき姿Ⓑとの間のギャップⒸ(=問題)を明らかにすること。

  2. 課題の設定・・・認識したギャップⒸ(=問題)に対して、解消したいギャップⒹ(=課題)を決めること。(要件: ①自分の意思 ②自ら設定した到達目標 ③ギャップⒹが検証可能)

  3. 課題の共有・・・関係者が到達目標を共有する。指標(KPI、KGI)を活用。


クリックで拡大します↓↓


 
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